2009年11月02日 千葉県野球場

前橋工業vs 千葉商大付

2009年秋の大会 第62回関東地区高校野球大会 準々決勝

健闘を称えあう両校の選手達

延長13回の激闘も日没再試合、平部平井両投手13回熱投!

大会三日目、千葉県営球場第二試合は、初戦を勝ち上がった群馬2位の 前橋工業 対今大会初戦を迎える千葉県1位千葉商大付の一戦となった。

秋季千葉県大会を制した千葉商大付は初優勝、13年ぶり3回目の出場。県大会ではエース平部君が6試合連続完投勝利をあげるなど大車輪の活躍をみせ初優勝に貢献、打線も好機を逃さない隙のない攻撃を見せ平部君を援護、いい形で関東大会初戦を迎えた。

対する群馬2位の 前橋工業 は6年ぶりの出場。県予選までチームの指揮を執った大須賀監督に変わり今大会からコーチであった小暮氏が監督に就任し指揮を振るっている。初戦では積極的な采配が目立ち、チームを準々決勝に導いた。この試合もその采配ぶりが注目された。

この試合、レポートするのも困るほどの息詰まる熱戦となり、両校の選抜甲子園にかける気持ちがぶつかりあう激しい一戦となった。延長13回まで両エース平部君平井君が投げ合い熱投。

打ってはスコアーが物語るように千葉商大付が3度目となる同点劇を7回にみせその回にこの試合はじめての逆転でリードするも8回表すかさず 前橋工業 もこの試合初の同点劇。そのまま果てしなく続くかと思われた息詰まる攻防の結末は、13回日没の為再試合という結果に終わった。

明日の正午から再度両校がぶつかりあうこととなったが、なんといってもポイントは投手起用だろう。両チーム、エースが13回を投げ切り肩にかなり負担がかかっていると思われるため、二番手以降の投手陣の出来が両校にとって勝負を分けることになりそうだ。

天候が試合途中から荒れ模様に。雨が降っては止んでを繰り返し、前日の夏のような気候がうそのように初冬の風情に襲われた千葉県営球場第二試合。それでも熱心な高校野球ファン、千葉商大付前橋工業 の各応援団などから選手に熱い声援が最後まで送られた。明日絶好のコンディションの中で再戦する両校の戦い、どんな結末を迎えるのかしっかり見届けてきたいと思う。

(文・撮影=国吉辰一



 延長13回裏、2死満塁。 千葉商大付 の打者・小澤卓也(2年)に対するカウントは2-3。ファウルで粘っての9球目、前橋工のエース・平井東(あずま=2年)が投じた渾身の直球に小澤のバットは空を切った。ピンチを凌ぎ雄叫びを上げてベンチに帰る平井にこれ以上のマウンドは残されていなかった。16時40分をすぎた千葉県野球場のグランド暗闇が迫っていた。球審は両チームの選手を集めゲームセットを宣告し日没再試合が決定。「よく負けなかったと思います」と前橋工・小暮直哉監督はホッと一息をついた。

 序盤から試合は激しく動く。取られて取っての流れは8回表に前橋工がスクイズで同点に追いついた時点でパタリと止まった。この時点で前橋工3、 千葉商大付 4の失策。お世辞にも好ゲームとは言えなかったが、延長に入り試合はヒートアップ。毎回のようにサヨナラのチャンスを作る 千葉商大付 に対し、平井を中心とした前橋工は必死に耐えた。11回の2死2、3塁の場面ではファウルフライを追った捕手の原澤規(1年)がバックネットの鉄部分に激突。裂傷を負ったが、ボールは離さなかった。このプレーで退場し病院に向かった原澤に代わり、沼尾大地(2年)がマスクを被る。「原澤が病院に行ったのは聞いていました」と話した平井はその後のピンチも耐え、引き分けに持ち込んだ。小暮監督が「今までのウチならサヨナラ負けしていた」と振り返った試合。凌いだエースは「去年の秋の大会で自分が投げて2死満塁からサヨナラ負けをした」と悔しさをバネに成長を遂げたことを強調した。

 「明日?もちろん投げます」とエースははっきりと言い切った。

(文=松倉雄太

 ほとんどが理解できていないようだった。

 審判のアナウンスがあったにもかかわらず、スタンドの観客もしばらく「誤審だ」「間違っている」「あの1点はおかしい」と言い合っていた。

 7回裏、千葉商大付の攻撃。1死二、三塁で一番・林の放った打球はライナーでセンターへ。安打性の打球だったが、これを前橋工のセンター・田中がダイビングで好捕。すかさずベースカバーのセカンドに送り、飛び出していた二塁走者の小澤がアウト。スリーアウトチェンジとなった。

 ところが、千葉商大付には1点が認められた。飛び出していた小澤がアウトになる前に、三塁走者の萩原がホームを踏んでいたからだ。通常、センターフライ、ライナーで本塁を突くにはタッチアップが必要。萩原はタッチアップをしていなかったが、このケースはタッチアップなしでも本塁生還が認められる。

 野球規則7・10にはこう記載されている。(抜粋)
『次の場合、アピールがあれば、走者はアウトになる。
(a)飛球が捕えられた後、走者が再度の触塁(リタッチ)を果たす前に、身体あるいはその塁に触球された場合。(b)(c)(d)略

イニングの表または裏が終わったときのアピールは、守備側のチームのプレーヤーが競技場を去るまでに行なわなければならない。
第三アウトが成立した後、ほかにアピールがあり、審判員が、そのアピールを支持した場合には、そのアピールアウトが、そのイニングにおける第三アウトとなる。
また、第三アウトがアピールによって成立した後でも、守備側チームは、このアウトよりもほかに有利なアピールプレイがあれば、その有利となるアピールアウトを選んで、先の第三アウトと置きかえることができる
“守備側チームのプレーヤーが競技場を去る”とあるのは、投手および内野手が、ベンチまたはクラブハウスに向かうためにフェア地域を離れたことを意味する。』
ちなみに、筆者が持っている野球規則にはこの7・10の項の最後にこのような事例も記載されている。(抜粋)


【問】一死、走者一・二塁、打者が右翼へ大飛球を打ったとき、安打になると思った二走者は、フライが飛んでいる間進塁し続け、右翼手がこれを捕えたにもかかわらず、二塁走者はそのまま本塁を踏んだ。しかし一塁走者は捕球されたのを見て一塁に引き返そうとした。右翼手は一塁へ送球、一塁手は一塁走者が帰塁するより先に、塁に触球して、アウトにした。二塁走者は、一塁走者が一塁でアウトになるより先に、本塁を踏んでいるが、その得点は認められるか。

【答】守備側が二塁でアピールしない限り、二塁走者の得点は認められる。しかし、守備側は、アピールによる第三アウトの成立後であっても、このアウトよりも有利となるアピールアウトを先の第三アウトと置きかえることができるから、二塁でアピールすれば、リタッチを果たしていない二塁走者はアウトになり、得点とはならない。


 千葉商大付対前橋工戦は、この事例が一、二塁ではなく、二、三塁になっただけ。まさに同じことだ。スリーアウトチェンジと思い、前橋工ナインがベンチに帰った瞬間にアピールの権利はなくなり、得点は認められる。前橋工ナインはベンチから再びグランドに戻り、三塁に触塁してアピールしたが、後の祭りだった。

「(ピンチで併殺にした)喜びが大きかったので、引き揚げるのが早かったですね。ただ、あの場面で冷静に考えるのは無理でしょう」(前橋工・小暮監督)

 だが、ベンチから戻ってアピールする前橋工ナインの様子を見る限り、しっかりとルールを理解しているようには見えなかった。小暮監督も「ルール的にはわかっていなかったと思います」と言っていた。

 これで7対8と逆転された前橋工だが、8回表にすぐ追いつき、結果的にこの1点に泣くことはなかった。だが、この1点に泣く可能性も大いにあった。

 日頃からルールを確認しておくことがいかに大切か。
 ピンチの場面で、このケースはどうするか、ということをプレー前に確認しておくことも必要だろう。
 全国でも、いつ、どこで、同じようなことが起きるかわからない。
 1球に泣き、1点に泣くのが野球。
 ルールを知らずに負けることのないよう、準備、確認の徹底を――。

(文=田尻 賢誉

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